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活動報告

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「新自由主義とケインズ主義」

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毎日新聞の記者の目に「新自由主義とケインズ主義」が書かれていた。そのとおりだと思うので記載しました。

私は経済学者ではないので、どちらの理論が良いか悪いかと言う話はしないが、一つ言いたいことがある。それは、昨今の世論は「ハイエクだケインズだ」「右か左か」「白か黒か」と、やたらと位置づけたがっていないかということ。しかも、どこを基準にしているのか曖昧で、まるで言葉遊びのような議論が多いと感じてしまうこともある。

当然だが、政治は結果を出さなければならない。今大事なことは、批判や対立ではなく提言や協調である。未曾有の危機を脱出するための政策をオールジャパンで対処していかなければいけない。それでないととても国民の皆さんの思いに応えることができない。

 

写真は昼食。見ての通りうどんです。

 

毎日新聞 記者の目 (新自由主義とケインズ主義 藤枝克治)

 最近の日本の経済論壇をみると、大きく二つの方向性に分類できるだろう。すなわち、(1)構造改革をさらに進めて日本の成長力を強化すべきだ、という意見と、(2)行き過ぎだった「改革」を是正して日本のよさを見直すべきだ、という考え方だ。その底流には、経済学の視点でみると、「新自由主義」と「ケインズ主義」の対立がある。だが今の経済危機にあって、新自由主義だ、ケインズだと言い争っている場合ではない。対立を超えて、危機脱出の政策を提言することが最も重要だ。

 

 簡単に言うと、新自由主義は、「小さな政府」「規制緩和」「市場メカニズム重視」。一方、ケインズ主義は、「大きな政府」「社会福祉の拡充」「政府による市場の是正」の立場だ。

 

 80年前後の米レーガン政権、英サッチャー政権の登場以降、米英を中心に新自由主義が勢いを持ち、日本の構造改革もその延長上にあった。しかし、特に今回の金融危機が深刻化するにつれ、新自由主義や構造改革への批判が強まっている。

 

 この流れを象徴するのが、かつて新自由主義の立場から構造改革の旗を振った中谷巌三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長の“転向”だ。

 

 中谷氏は小渕恵三首相の諮問機関「経済戦略会議」の議長代理として熱心に構造改革を説き、当初は小泉純一郎内閣の改革も支持していたが、いまではその誤りを認めている。中谷氏はケインズ主義者に宗旨替えしたわけではないが、行き過ぎた改革の是正を訴えるようになった。ざんげの書「資本主義はなぜ自壊したのか」(集英社インターナショナル)を昨年末に出版、「文芸春秋」3月号で「竹中平蔵君、僕は間違えた」との手記を発表して注目を集める。

 

 これをどう思うか、小泉改革を担った竹中平蔵元総務相に尋ねると「日本から一歩外へ出れば、そのような議論は全然聞こえてこない。全く気にしていない」と一蹴(いっしゅう)。「小泉首相と『新自由主義の政策でやりましょう』などと話したことは一度もない」といい、新自由主義者と呼ばれることに拒否反応を示す。さらに「郵政民営化は規制緩和だが、銀行に対しては不良債権を強制的に処理させ、むしろ規制を強化した」と反論する。

 

 現在の世界同時不況の局面では米国をはじめ各国が財政出動に動いている。「公共投資は効果が乏しく弊害が大きい」と批判してきた新自由主義の声が弱まり、政府の役割を重視するケインズ主義が息を吹き返した形だ。

 

 日本のケインズ主義者は、ここ20年ぐらい「時代遅れ」と言われていたので、うっ屈したものがたまっているのかもしれない。だから両者の対立は必要以上に過激になってしまう。知り合いのケインズ支持の学者の多くは、中谷氏に対しても「いまさら何を言っているのか」と冷ややかだ。

 

 だが、最近の経済学の世界では、新自由主義とケインズ主義の対立は、それほど重要視されなくなっている。市場に任せておけばうまくいくという新自由主義の立場も、政府の裁量で経済をコントロールできるとするケインズ主義の立場も、それだけでは複雑な現実に対応するには不十分という認識が共有されるようになってきた。むしろ前者は経済を長期的な視野でとらえ、後者は短期的な視点に立つと整理して、両者をうまく融合させようというのが、マクロ経済学の今の姿だと私は理解している。

 

 「派遣切り」に代表される雇用問題にしても、規制緩和を主張した新自由主義者を批判するだけでは解決しない。確かに非正規従業員を正社員と同じように解雇しにくくすれば、短期的には雇用を守れるかもしれない。しかし、その結果、新自由主義者が指摘するように長期的には「企業は海外に逃げていく」「産業の構造転換が遅れて、日本は国際競争に負けてしまう」という問題を突きつけられる。

 

 必要なのは、緊急避難として派遣契約の雇い止めを見直すなど短期的な政策を採りながら、長期的な成長を図り日本経済全体のパイを拡大させることだ。そのためには少子・高齢化に歯止めをかけ、労働力と消費者を増やしながら成長産業を育てるしかない。

 

 「週刊エコノミスト」で今年初め、国内の著名エコノミストの日本経済への提言を特集したが、具体策をみると、住宅政策など理論的な立場を超えて意外に共通点も多い。

 

 「経済学者が10人集まると11通りの処方せんがある」という言葉がある。経済学者の意見はそれほどバラバラで当てにならないということを皮肉った表現だが、経済学者やエコノミストは思想的・理論的な非難合戦は脇に置いて、長期・短期の両方の視点で政策を提言し合い、日本経済の再生に貢献してほしい。(エコノミスト編集部)

 


 



 

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