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活動報告

Report

太陽経済の時代を拓こう

20081126080407今日の産経新聞(正論)に千葉商科大学学長・島田晴雄先生 「太陽経済の時代を拓こう」が書かれている。
景気が悪くなる中で、あるべき日本の将来について元気の出る話である。
論文には「政府主導の戦略的対応を」と書いてある。まさにその通りである。経済の緊急対策は勿論、将来を見据えた戦略的対応が必要である。




 「太陽経済の時代を拓こう」

≪金融危機の後に来るもの≫

世界経済の大混乱がつづいている。アメリカ発の金融危機はまだ最悪期を脱していないが、金融面での混乱が一段落しても、投資、生産、雇用、消費の萎縮が実体経済をさらに縮小させていくだろう。しかし、経済はやがて回復する。政策対応に加え、価格が十分下がれば需要が喚起されるという原理が市場には組み込まれているからだ。

その回復に2年かかるのか、あるいは5年かかるのか、それを予知するには現在の事態はあまりに錯綜しており不確実性が大きい。だが、世界の実体経済が回復してくるとき、その構図は現在の世界経済とはかなり異なったものとなる可能性が高い。

異なった絵柄を構成するすくなくとも二つの大きな要因がある。ひとつはエネルギーであり、いまひとつは新興国の台頭である。石油に象徴されるエネルギー価格は1970年代中盤の石油危機で10倍となり、省力化を軸に経済の技術構造は大きく変わった。このところそれがさらに10倍-5倍も高まり、石油に代わる新たなエネルギー源の開発が本格化している。


≪エネルギーを軸に再編成≫

世界経済はやがて新たなエネルギーを軸に再編成されるだろう。新興国群は現在、世界金融危機の深刻な打撃を受けているが、膨大な若い人口が内包する活力はやがて世界経済の多極化と新たな地政学的連携構造を生み出すにちがいない。数年後の世界経済回復のモメンタムにはこれらの要素が鍵となる。

そのモメンタムを主導する主体は何か。日本はそうした構図の中でどのような役割を果たせるのか。1970年代中盤の石油危機以降の経験がヒントになる。中東石油への依存度がもっとも高かった日本は石油危機でもっとも深刻な打撃を受けたが、しかし、数年後には世界経済をリードする役割を期待されるまでに回復した。石油危機をバネに日本の産業界は技術革新と自己規制で徹底的な省力化をすすめ、労使は世界に比類のない弾力的な賃金決定でインフレ圧力を吸収した。この経験をこれからの日本の戦略にどう生かすかが問われている。

エネルギーはこれまでいわば19世紀の石炭、20世紀の石油と、長い間、いわゆる化石燃料に依存してきた。これらはいずれも実は太陽光で育った植物や微生物が何億年も貯蔵された結果のエネルギー源である。人類は今や、太陽のエネルギーをこの貯蔵過程を経ずにすぐに利用可能とする技術を手にしている。

地球表面の1.5%に降り注ぐ太陽光だけで67億人を支えるエネルギーになるとされる。石油価格の高騰を受けて、世界各国は太陽エネルギーを活用する技術の開発にしのぎを削っているが、現在のところ、太陽エネルギー活用の要素技術が利用可能な形でもっとも集中して存在しているのが日本である。

ソーラー発電、太陽電池やリチウム電池などの蓄電装置、超伝導などの効率的な伝導装置、風力発電や地熱発電、さらには潮力発電や地下水の温度格差の利用、あるいはバイオマスのエネルギー化なども、ひろい意味では太陽エネルギーの利用である。これらの要素技術は、日本には、シャープ、三洋電機(パナソニック)、三菱重工、東芝、日立などの大企業から数多くのベンチャー企業まで多くの産業集積があり、また優れた技術者、研究者がいる。


≪政府主導の戦略的対応を≫

しかし要素技術だけでは、太陽エネルギーの直接利用のメリットを十分生かすことはできない。石炭が蒸気機関と鉄道網を媒介して産業革命を実現し、石油が内燃機関と道路整備でモータリゼーション社会を実現したように、太陽エネルギーが電気自動車や産業、生活全般にわたって活用される経済・社会システムを構築する必要がある。

また日本の技術や頭脳の集積を核として世界の能力を凝集し、研究開発を加速する必要がある。そのためには政府の戦略的主導と支援、産業界の全面的参加、世論の支持が欠かせない。こうした総合戦略があってはじめて、太陽エネルギーを存分に活用した豊かな太陽経済の新時代を拓(ひら)くことができるのである。

中国が日本の効率的なエネルギー利用技術を活用できれば莫大(ばくだい)なメリットがあることは周知だが、インドの自然資源と日本の技術の融合はさらに大きな成果を生みうる。日本がこれらアジアの新興国群と密接な協力関係を築くことができれば、世界経済の新たな回復を主導し日本はもとより世界に大きく貢献することができるはずだ。

現在の暗い時代の先に明るい未来を拓くため、産業界、政府、メディア、学界など皆が知恵と力を出し合い「太陽経済の時代」を実現する運動を起こしてはどうか。

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